1932年(昭和7年)の創業以来、店頭販促用として置かれる食品サンプル模型を作り続け、現在ではトップシェアを誇るいわさきグループ。その東日本地区で展開しているのが、イワサキ・ビーアイ(商号:㈱岩崎)だ。
同社によると、この食品サンプル模型が近年、食品工場での品質管理やスタッフトレーニング、検査機器の動作確認用などでも活用されているという。その活用事例はポテトチップスや焼き菓子、チョコレート、シュークリーム、点心、麺、弁当、パン、笹かまぼこ、鶏肉、スモークチーズ、ソーセージ、米菓など、実にさまざまである。
例えば、笹かまぼこなら、焼き色別に「薄い」「良品」「濃い」、外観別に「良品」「膨張」「縮み」「割れ」のサンプルを作製し、目視検査を行うスタッフのための良品・不良品見本として使用する(写真1)。慣れない検査スタッフも、忠実に再現された立体サンプルと比較しながら、正しい選別ができるようになる。また、弁当の盛り付けでは、正常品と欠品、不適切な盛り付け、色、形、調理具合などが分かるサンプルを作製することで、盛り付けや目視チェックのトレーニングに活用できる(写真2・3)。
良品・不良品見本、限度見本などは、写真や実際の製品を用いるケースが多いが、写真だとサイズ感や質感が伝わりにくい、実際の製品では劣化し、長期間使用できないなどの課題がある。食品サンプルは①リアルサイズで再現でき、インパクトが強い②立体で伝えられる③状態を理解しやすい(教えやすい)④何度でも使える―などのメリットが得られることから、食品工場での採用が増えているようだ。
こうした食品サンプル模型は注文を受けてから職人がひとつ一つ手作業で作るため、細かい箇所までオーダーメイドでの作製が可能。イワサキ・ビーアイでは国内に6工場、約160人の製造従業員体制で高い生産能力を有しており、22営業所の営業拠点力と併せ、素早い対応を可能にしている。
食品サンプル模型は今後、品質管理ツールの新たな選択肢になるといえる。