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生協特集

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パルシステム千葉 移動販売「まごころ便」と農業参入、支援受けて展開

移動販売車の画像予定の時間よりも前に到着して、
お客さまの来店を待つ

パルシステム千葉はパルシステム連合会のなかで店舗を持つ数少ない生協だ。千葉県野田市との良好な関係を活かして、移動販売の「まごころ便」を始め、農業分野に参入してきた。地域に根ざした生協らしい取り組みだ。

パルシステム千葉は1月28日から千葉県の野田市で移動販売「まごころ便」の運行を開始した。日常生活圏や移動の交通手段がないために、日々の買い物に不便を感じている高齢者などを支援する目的ではじめた。パルシステム千葉単独では採算が厳しいが、野田市の支援を受けて継続していく。

パルシステムは、個別配送を中心とした宅配事業で成長してきた事業連合だが、パルシステム千葉の前身の一つである、野田醤油(現在のキッコーマン)生協の流れもあって1店舗残っている。

もともと移動販売を検討していたが、採算があわないとして一度、とん挫。11年に千葉県野田市から協力の要請を受けて、12年に検討、「協働」として実現にこぎつけた。

現在は惣菜、生鮮品などを中心に販売。野田市内を3コースで合計37のステーションに週2回ずつ運行する。1回の1コース当たり5万円から6万円程度。組合員1人当たりの購入金額は1000円前後と店舗での利用金額の約半分。野田市から人件費と燃料代30%の支援があるため継続できている。

今後は利用人数、購入金額の増加を狙う。品揃え、PRなどが鍵だ。


・不慣れだが農業参入 組合員に地産地消の野菜生産


土づくりのためにビニールシートを敷く椎名一樹社長土づくりのためにビニールシートを敷く
常務の遠藤尚志さん

農作業には不慣れだが、組合員のために有機野菜を生産。パルシステム千葉は2012年9月、農業生産法人「パルグリーンファーム」を千葉県野田市に立ち上げた。2月から葉物野菜の出荷を開始。生協で農業生産法人を立ち上げたのは4件目で、パルシステムが得意とする宅配事業と連動させて地産地消を目指す。

パルグリーンファームは1.5haの土地にビニールハウス4棟を設けてホウレンソウ、チンゲンサイなどの葉物野菜を周年、生産する。スタッフは常務の遠藤尚志さんと取締役の椎名一樹さん。農家の指導を受けながら栽培しているが、細かい段取りなどで不慣れな面が出てくる。遠藤さんはビニールハウスでの作業中に熱中症になったこともあるという。コメなどと異なり、年に6回から7回収穫できるため、ノウハウを次々と蓄積中だ。

組合員に定期的に2把の野菜を提供する。すでにパルシステム千葉の組合員のうち180人が契約。各組合員には宅配で商品が1週間に1回届けられるが、その便に載せられる。契約している組合員には1週間前には届けられる野菜をお知らせする。地産地消で新鮮な野菜を届けることがパルシステムの事業にも寄与する。食品廃棄物など地域の未利用資源の活用や、パルシステム千葉の職員の研修にも使われる。まだ採算ベースにのっていないが、農業参入のビジネスモデルの確立も視野に入れる。

土地はリース方式で借りた。千葉県野田市は耕作放棄地のあっせんをしていて、パルシステム千葉は野田市内で長年活動してきたため、比較的スムーズに土地を借りられたという。

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